皆さん、こんにちは。
今年は暖冬ということですが、やはり、冬は寒いですね。今週末より、寒さが増してくるそうです。
東北地方や日本海側では、雪が降りそうな天気予報が出ています。雪による交通渋滞等、お気を付けください。
さて、24節気の小雪(しょうせつ)の頃は、牡蠣(かき)が美味しくなってくる時期です。
別名、「海のミルク」とも呼ばれ、カキフライ、土手鍋、炊き込みご飯、ガーリックバター醤油焼き、牡蠣グラタン、牡蠣のクリームシチュー等々、美味しい料理が色々ありますね。
是非、美味しいお食事を楽しんで下さい。
先日、たまたま、目にした記事を読み、日本の水産業で起こっている現実を知り、驚きました。
「魚が獲れない日本」漁師の減少が原因でない訳。
これは東洋経済に掲載された記事です。書かれた方は、片野歩さんという方で、ブログを書かれていたり、書籍も出されています。
ご興味のある方は、是非、読まれて下さい。
ブログ:魚が消えていく本当の理由
書籍:魚はどこに消えた?(出版社ウェッジ)、日本の漁業が崩壊する本当の理由(出版社ウェッジ)
日本の水産業が衰退し始めているのは、何故なんだ?!
ご興味のある方は読んで頂くと、外国や過去との対比をしながら、見かけ上の問題点とその奥に潜む真因(本当の原因)を見極めることが重要であることが分かってきます。
日本の近海では、実に多くの魚種が減少し続けています。鯖、秋刀魚、スルメイカ、鮭、いかなご等、水揚げ量の減少が続いています。
漁業者の減少、温暖化による海水温の上昇、外国船の乱獲、クジラが食べてしまう、レジームシフト(数十年単位で起こる急激な気候変動)・・・・。
これらは、他の国でも起こっており、真因ではないことが見えて来ますよね。
小さい魚をたくさん獲ってしまうと、成長して大きくなる機会が奪われて、確実に資源が減っていきます。これは「成長乱獲」と呼ばれています。これが最終的には、「資源崩壊」につながっていきます。
実は、ここに本当の原因が潜んでいそうです。
小売店の店頭で、こんな光景を見掛けられたことはないでしょうか?
やけに小さな高級魚(もう少し大きく育ってから漁獲すれば、価値や値段も高いだろうに・・・)、
ズワイガニ雌のセイコガニ(香箱蟹)。値段は雄のズワイガニよりうんと安くて、美味しい。しかし、雌が減ってしまっては、次の世代、また次の世代とだんだん数量が減ってしまうのでは?
(漁期はオスより短く設定されてはいますが、世界とは格段の差があります。ズワイガニは、世界ではメスは漁獲しないそうです。)
資源管理の行き届いた欧米では、産卵する親(産卵親魚)の資源量を考えながら、漁をするのは資源管理の常識となっています。
皆さんは、TAC(漁獲可能量)という言葉を聞かれたことはありますか?
これは水産資源の維持のため、特定の魚種ごとに捕獲できる総量を決めたものです。この漁獲量管理の手法は、非個別割当方式(オリンピック方式)、個別割当方式とあります。
先進国の中では、日本のみ非個別割当方式を採用しており、上限に達した時点で操業停止となり、早獲り競争となり、小形魚まで取りつくしてしまう欠点があります。
方式は別として、日本においても、漁獲可能量を定めて、漁獲量がその数量を上回らない様に管理しています。(但し、上限量が高く設定され過ぎ、結果として、取り放題という課題もあります。)
対象となる魚種は8魚種です。クロマグロ、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、マサバ及びゴマサバ、スルメイカ、ズワイガニです。
最近では、TAC管理によって、良い知らせも聞かれる様になりました。
クロマグロは漁獲可能量を決めて管理され、資源確保がうまく機能し、資源量が増え始めています。
「SDGs14番 海の豊かさを守ろう。」
数十年前に学校で学んだ「水産大国ニッポン」は、既に過去のものとなり、日本の漁獲量は年々減少を続け、1980年代をピークに下降の一途を辿っています。
世界の水産国が上昇トレンドにある中、日本だけが下降を続けています。
日本は国境を全て海に囲まれ、本来は海の豊かさを十二分に享受できる「恵まれた国」であったはずです。
それが獲り過ぎてしまった、小さい幼魚まで獲ってしまった、ドンドン減少を続けている・・・。
この悪循環を断ち切るのは、水産業を取り巻く全ての産業で、資源管理の重要性の理解・啓蒙、しっかりとした資源管理、手法としてのTAC(漁獲可能量)の活用であると痛感しました。
ご興味のある方は、是非、読まれて下さい。