この時期は、美味しい魚が多い時期です。
2月~3月上旬まで、小さいながらも存在感が大きい「白魚」。伊勢湾の河口周辺で以前からよく獲れる魚です。
浜値で1キロ1万円を超えることが度々ある高級食材です。今は漁獲量も少なくなってしましました。
松尾芭蕉の俳句にも謳われています。
「あけぼのや、白魚白き、こと一寸」。これは今でも桑名の通称、浜の地蔵さんに石碑が残っています。
何と言っても、刺身で食べるのが一番旨い。鮮度が抜群でないとできません。山葵醤油で食べます。ほんのりと苦味と甘味がある魚です。海苔を巻いて食べるのも上手い食べ方です。
そして、白醤油・味醂・酒・砂糖を使って、煮詰め、姿煮で食べる。これも美味しい食べ方です。保存性が高まります。
桑名では余り採れなくなりましたが、河口の汽水域があるエリアなら、今でも獲れる産地があります。この周辺だと、浜名湖周辺、茨城で良いのが獲れます。
しかし、産地により成長度合いが違いますので、くれぐれも食べ頃にご注意して下さい。
次に、白魚が終わろうとする3月初旬、次には「いかなご」の登場です。伊勢湾では、今は、全く獲れず、禁漁となっています。
地域によっては、「細口(ほそくち)~~」と大声で言って、魚屋さんが自転車で売り歩いていた魚です。
これは、醤油、味醂、酒、砂糖、臭み消しの生姜を使って、煮詰めて「くぎ煮」が一番美味しくいただけます。
魚介類は、季節により美味しくなる、または、季節と同時に魚を食べて楽しむ「日本の魚食文化」があります。
これは、単に「脂のり」だけでなく、季節に合った食べ物を選ぶ魚食文化を指します。
シンコ、コハダ、コノシロと成長する魚がいます。大きい・脂があるからと、コノシロを好んで食べる方は少ないと思います。シンコの出始めは、お鮨屋さんが好んで握るネタと聞いています。
余談ながら、このコノシロも同じ汽水域で生息し、白魚を獲りに行くと、一緒に獲れてしまう魚の一つです。