皆さん、こんにちは。
前回、冷凍食品に起こっていることを、理論的に解明することを書きました。
三部作でまとめてみたいと思います。
1.マーケティング(メーカー)
2.プロダクト・ライフ・サイクル(製品)
3.マーチャンダイジング(小売業)
※ここでは、分かりやすく表現することにし、その為、本来の名称等とは違う表現をしている場合もありますので、ご了承ください。
1.マーケティング
自社や自社製品が、その分野の中で優位な立場で市場内シェアを高めていく為の手法です。会社によっては、目標は大きく、「ハルクホーガンの1番」。
さて、分析の段階で、自社の強み・弱み、環境の機会・脅威を分析したり、消費者像をはっきりさせたり、競争相手の分析をしたりします。また、自社製品と他社との違いを明確にしたりもします。
そんな中の「冷凍食品」。
有職主婦のニーズ(調理時間短縮、家事短縮)に合致し、各社、随分と色々な製品を出しています。また、結婚をされていない独身者(比率が高まっています)にもニーズがあります。
ズバリ、切り口は、①価格(Price)、②製品(Product)、③流通(Place)、④販売促進(Promotion)です。
ここまで、さらりと表現してきましたが、マーケティング理論の中の分析手法が、4つも5つも入っています。カタカナで書きすぎると、非常に分かりずらい理論に見えてしまうのも、マーケティングです。
次に、2.プロダクト・ライフ・サイクル(PLC)
ねっ、カタカナが苦手な人は、訳が分からないでしょ。簡単に言えば、新しい製品が生まれてから死ぬまでの期間を表わしています。
何をやるんだろう?となります。
製品が生まれ(導入期)⇒成長し(成長期)⇒成熟・安定し(成熟期)⇒衰退していく(衰退期)。これを4つの期間に分けて解説します。
人間の一生に似ていますよね。
さて、冷凍食品のチャーハン。時期は、成熟期にあります。
あの低単価で販売することは、相当、大きな設備投資が、初期の成長期になされていたことがお分かりになるでしょう。
この製品が生れた導入期は、約20年程前。市場環境は、今と全く違う。広告宣伝費等の出費も多かっただろうと思われます。
一般に、①導入期は、売上は低く、利益も上がらない、先行投資が多い時期です。
次に、②成長期には、広告宣伝が功を奏し始め、製品が急成長します。設備投資等が嵩みます。利益はプラスに転じ始めます。
③成熟期には、低成長に入りますが、設備投資は終わっており、固定費等が減り始め、利益率が一番高くなる時期です。成長期から競合は増えてきますが、成熟期が一番多い。その為、他の産業ではモデル・チェンジ等が増えてきます。
そして、寿命に向かう④衰退期となります。モデル・チェンジに失敗した製品は、早く他の製品へ切り替えが行なわれる時期です。
ざっと、これがPLCです。途中、書かせて頂きましたが、冷凍食品No1のチャーハンは、成熟期に入っています。色々な他のチャーハンも出ていますよね。競合が随分あります。
3.マーチャンダイジング(小売業)
製造業のマーケティングに相当する概念です。①売場コンセプト、売場レイアウト、②商品(仕入計画、販売計画)、③棚割・陳列・演出、④販売促進計画、⑤価格決定、⑥店内動線の設定、⑦店内作業、⑧各種サービス、とまとめてみました。
今回の冷凍チャーハンのケースは?
⑤価格決定、④販売促進計画に絡みます。
結論を言ってしまえば、業態の違いによる「カテゴリー別売上高と粗利益率」の計画・設定の差から生まれています。
一般に、ドラッグストアは、主な顔になる商品は、「薬、化粧品、健康食品」となります。
これらの売上の構成比は高いでしょう。見込む粗利益率も高いでしょう。医薬品、化粧品、調剤がカテゴリーの3本柱。食品、雑貨はその次の扱いとなります。
一方、食品スーパーでは、生鮮食品、一般食品、冷凍食品が主な3本柱となります。同様に、売上構成も粗利益率もドラッグストアより高く見込んでいます。
ドラッグストアでは、冷凍食品の粗利益率をう~んと抑え、集客目的の販売促進の一環として、定期的な冷凍食品の激安販売を行っています。競合が激しいエリアは、頻繁に、長期間行うこととなります。
そして、恐らく、冷凍チャーハンの製造コストは、固定費部分が成長期より低くなっており、利益が多くなっているのは確かで、その一部を小売店へ安く販売されているのではないかと言う推測が成り立ちます。
その原資を使って、ドラッグストアは更に・・・となっています。
そして、211円~358円の価格差となっています。
これが全容です。
私は、安売りばかりが良いと思いません。EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)を標榜する食品スーパーさんは、258円でした。
2つで500円という表示がなされていました。値打ちだと感じました。毎日が同じ価格です。
さて、補足です。
今回の投稿の中に、売上構成比、粗利益率という表現をした箇所があります。この2つを使って、自社内の部門でも良いし、お得意先でも良い。また、商品でも良い。貢献度を計る指標があります。
意外と、今まで思っていたことと違う結果になることも多い分析手法です。やってみる価値ありです。
簡単です。
各部門の構成比×粗利益率を計算する。それぞれを足し込んで合計を出す。合計を100とする。その構成比が、貢献度となります。
有価証券報告書で発表のある食品スーパーの一部の企業さんを計算してみました。生鮮に力を入れているのが、よく分かると思います。いくつか見てみると、おおよそ、42~52%位あります。
丁度、時間となりました。次回は、「小満」(5月21日頃)の投稿となります。